T 土壌pH
 U 土壌EC
 V 腐植
 W CEC(塩基置換容量)

 X 要素の相互作用

 Y 塩基飽和度
 Z 塩基バランス
 [ 土壌pHによって左右される
    植物栄養分の有効度合

 \ 食塩分が土壌構造を破壊する理由
 ] 線虫(センチュウ)に対する基礎知識
 ]T 土の種類と性質




 T 土壌pH
 pHとは酸性かアルカリ性かを示す指標で、1〜14の数値で表します。『7』が中性で、数値が小さくなるほど酸性が強いことを示し、逆に大きくなるほどアルカリ性が強いことを示します。作物は土壌pHによって生育が大きく左右され、土壌pHを適切に保たないと高収穫は期待できません。作物の種類によって生育に適した土壌pH値は違いますが、だいたい6.0〜6.5と考えれば良いでしょう。
pHメーター
土壌pHの分類
 (土壌pHの測定方法の違い)
 土壌pHを測定する方法には、蒸留水(水)を使用する場合と塩化加里液(1規定)を使用する場合があります。一般的には前者の数値を基準としますが、後者を用いる事もあります。当然、数値や数値の見方が違ってきますので、数値を見る場合は測定方法を必ず確認する必要があります。
  土壌から遊離している水素イオンの濃度を示しますが、これは現時点での土壌pH値です。
  土壌に吸着されている部分を含めた全体の水素イオン濃度を示しますが、化成肥料等を施用したときの土壌pHと考えることができます。
[水溶液中の水素イオンの状態]

土壌pHによる作物の分類
土壌pH 作  物  名
5.3〜5.8 馬鈴薯,茶,クリ,コウライ芝
5.7〜6.2 イチゴ,タバコ,ソバ,ヤマトイモ,コマツナ,アズキ,サトイモ,スイカ,ニンニク,
ミカン,リンゴ,ナシ,モモ,カキ,オウトウ,ビワ,落花生
6.0〜6.7 ブロッコリー,ナス,キュウリ,メロン,ネギ,ダイコン,カボチャ,ピーマン,カブ,
アスパラガス,トウモロコシ,ハクサイ,カンショ,ダイズ,ニンジン,小麦,
カリフラワー,ニラ,ミツバ,ブドウ,ベント芝
6.5〜7.2 ゴボウ,大麦,トマト,エンドウ,ホウレンソウ,インゲン,キャベツ,レタス,タマネギ,サラダナ





 U 土壌EC

 EC(Electro Conductidity:電気伝導度)とは土壌中に存在している肥料分の含有傾向を数値で表したものです。
 ほとんど電気を通さない純水(蒸留水)に肥料の入った土壌を混ぜ合わせることによって、肥料含有量に比例して電気が通りやすくなることを利用しています。特に、EC値と硝酸態窒素含有量とは比例関係が強いので、硝酸態窒素含有量を推定するのによく使われます。
 ただし、水に溶け難い成分(有機態、緩効性成分)は現れない事、肥料以外(特に食塩分)の塩類含有量が高くてもEC値が上がってしまう事、などの点に注意が必要です。
 単位はmS(ミリジーメンス)やuS(マイクロジーメンス)で表します。

                  

ECメーター


適正EC値(作付け前)の目安
                                         (mS)
土壌の種類 葉 菜 類 果 菜 類 根 菜 類
砂 質 土
沖 積 土
粘 質 土
腐植質土
黒ボク土
0.2〜0.3
0.3〜0.5
0.3〜0.5
0.3〜0.6
0.4〜0.6
0.2〜0.4
0.3〜0.7
0.3〜0.7
0.4〜0.8
0.5〜0.8
0.2〜0.3
0.3〜0.5
0.3〜0.5
0.3〜0.6
0.4〜0.6
上記の数値は作物の種類や土壌のCEC(塩基置換容量)又は腐植含有量によって若干数値が異なりなす。


作物の塩類濃度に対する抵抗性
塩類濃度抵抗性 作 物 名
弱  い イチゴ,レタス,ミツバ,インゲン,ソラマメ,サツマイモ
中程度 キュウリ,ナス,ネギ,ピーマン,ニンジン,トマト,メロン,スイカ,カブ
強  い セロリー,ダイコン,キャベツ,ホウレンソウ,ハクサイ,トウモロコシ,チンゲンサイ,タイサイ




 V 腐 植


◎腐植の生成

 土壌中に動植物遺体等の有機物が供給されると、土壌生物群集によって分解され、そのほとんどが炭酸ガス・水・アンモニア等の無機物となり、一部が暗色無定形の高分子化合物(腐植物質)となります。腐植とはこの暗色物質と分解途中にある動植物遺体成分(非腐植物質)の全体を言います。
 特に腐植物質は土壌の保肥力や緩衝能・団粒化に大きな影響を与えますので、重要な物質であるといえます。
腐植物質の基本的骨格の模式図(カサトーチキン原図,甲斐,1976)
東陽商事イメージ

◎土壌腐植の検定 腐植含有量評価基準(簡易分析)

 弊社は簡易土壌腐植検定法により、主に腐植物質の量を推定しています。従って、充分に腐植化していない有機物を含む試料では、チューリン法(一般的な手法)による測定値より低めに出る傾向があります。
腐植含有量 黒ボク土 非黒ボク土
かなり富む
  富 む
 やや富む
  含 む
 少し含む
10 以上
 7〜10
 4〜7
 2〜4
 2 以下
 5 以上
 3〜5
 2〜3
 1〜2
 1 以下
注意)泥炭土・黒泥土は黒ボク土と同様


◎腐植の機能

 保肥力が高い 肥料成分をつかむ能力に優れ、優良な腐植はバーミキュライトやモンモリロナイトの2倍以上ある。
土壌の保肥力の3分の1〜2分の1が腐植によるもの。
 緩衝能が高い 酸あるいはアルカリを土壌に投入した場合、土壌pHの変化を抑制する作用(極端な変化を和らげる力)が高い。
 団粒化を促進 微生物や無機元素を介して土壌の団粒化が促進され、通気性・透水性が高まる。腐植が入ると比較的軟らかい団粒構造となり、保水性も高まる。
 無機養分の給源 土壌中で徐々に分解して多量・中量・微量要素を作物に供給する。
 キレート作用 腐植中にはキレート化合物を含み、これが土壌中の活性アルミと結合し、アルミナの有害作用を抑える。同時にリン酸とアルミの結合を防ぐのでリン酸が作物に利用され易くなる。
 有用生物の繁殖 腐植はとりわけ有用生物のエサとなり、土壌構造の維持・作物の生育促進・土壌病害の抑制に効果がある。




 W CEC(塩基置換容量)

 簡単に言えば土の保肥力を数値化したものです。
 土はもともとマイナスの電気的な手を持っており、Ca++,K+,Mg++等のプラスの手を持った栄養元素を電気的につかむ事ができます。それを数値で表したのが”CEC”です(単位はme*1)。普通の土は12〜20me程度ですが、土に砂が多いと数値が小さくなり(保肥力が小さい事を示す)、逆に粘土や腐植分が多くなると数値が大きくなります(保肥力が大きい事を示す)。
  保肥力が小さい為、肥切れが早い。肥料を多く施用すると、塩類濃度障害により根痛みや根腐れを起こしやすい。又、土壌が酸性化することが多い。
  施用した肥料は長く保持されるが、反面、いったん微量要素が不足すると直りにくい。酸性化した場合、矯正に多くの石灰を必要とする。
 *1: CECは乾土100g当たりのmg当量(me)で表され、1meは約6×(10の20乗)個のマイナスの手を持っている事を示す





 X 要素の相互作用

 土壌中の栄養素はお互いに影響しあい、右図の様な関係をもっています。この関係を熟知すれば、施肥技術がグンとアップします。
 (例)
 ○鉄・マンガン過剰症が出た場合は石灰を施すと症状が軽くなる。
 ○鉄・マンガン欠乏土壌には鉄・マンガンと一緒に加里を施すと良い。
 ○苦土欠乏症は土壌中に石灰や加里が過剰の時にも起こる。
 ○苦土を施すとリン酸吸収も良くなる。

 石灰は色々な要素に影響し(作物の養分吸収をコントロールしている)、作物の生理状態を適性に保つ働きをしています。

要素の相互作用
                 (トルオーグ、1948)





 Y 塩基飽和度

 土壌には窒素やリン酸・加里等いろいろな栄養素が電気的に(プラスとマイナスで)くっついています。その中でも石灰・苦土・加里の付いている割合を塩基飽和度と言い、60〜80%が一般的です。60%以下では『養分量が不足しがちで酸性の強い土壌』の傾向があり、80%以上では『pHの高い土壌となって微量要素の効きが悪く、肥料成分の保持力が弱まって塩類濃度障害の出やすい土壌』になる傾向があります。最近の産地と言われる地区では、塩基飽和度が100%を越えている土壌が多くなってきています。

塩基飽和度は土壌に塩基類(赤字)が
60%〜80%付いていると良い。





 Z 塩基バランス

 作物が養分を吸収する場合、栄養素間で吸収阻害作用(拮抗作用)が働くため、塩基類(石灰・苦土・加里)はバランス良く土壌に含まれていることが大切です。野菜畑での最適なバランスは石灰:苦土:加里=5:2:1と言われています。塩基飽和度とも密接に関係しています。

(注意)比率は当量比→表
塩基バランス





 [ 土壌pHによって左右される
     植物栄養分の有効度合
植物栄養分の有効性と土壌pHの関係
(H.O.Backman ら、1970)
 作物は一般的に土壌pHが弱酸性から中性付近で最も生育が良く、弱酸性や強アルカリ性では生育不良となります。右表を見ると、pH6〜7の範囲で特に多量必須元素(窒素〜イオウまで)の有効性が高く、作物の生育が旺盛になる一つの要因になっていることが分かります。
 強酸性になるとマンガン(Mn)やアルミナ等が過剰に溶け出してきて、まれに作物の生育障害を引き起こす事があります。
バンドの幅は養分の有効性度を示す。
(Fe:鉄、Mn:マンガン、Zn:亜鉛、Cu:銅)



\ 食塩分が土壌構造を破壊する理由
カルシウム(Ca)は二荷のプラス電化を持っており、土粒同士をつなげて団粒構造を形成しています。
食塩分(Nacl)はカルシウム等の塩基類と入れ替わって土粒に着き、飛び出したカルシウムは塩素と結びついて圃場外へ流亡してしまいます。
 Naは一荷のプラス電化しか持っていないため、土粒同士が切り離されて団粒構造が破壊されます。

土の団粒化を促進する要因
土壌微生物・小動物
粘土粒子
有機物(腐植質)
作物の根
カルシウム、マグネシウム等
農機による適度の耕うん

 微生物の餌になる『有機物』と共に有用菌の住みやすい環境を作る『トヨクィーン』を施用すると、その相乗効果で微生物活動が活発になり土の団粒構造が促進されます。
単粒構造の土壌
透水・通気性が悪い
微生物が少ない
団粒構造の土壌
透水・通気性が良い
微生物が多い
図は「土壌通論」  
高井康雄・三好洋著





] 線虫(センチュウ)に対する基礎知識

1.線虫の種類とその生活
    線虫はその食性から見て次の三つに大別することができます。

    @捕食性線虫:他の線虫や小ミミズ等の小生物、微生物や原生動物等を捕食して生活
    A腐生性線虫:動植物等の遺体を食べて生活するもの
    B寄生性線虫:一生の一時期を高等植物の根等に寄生して生活するもの

この中で農業上最も問題視されるのがBの寄生性線虫ですが、一般的には@、Aの自由生活をする自活性線虫が圧倒的に多く、問題にならないのが普通です。
        
   捕食性・腐生性線虫は良い線虫
   寄生性線虫が悪い線虫です。 

2.線虫害の出やすい畑とは
★特定作物又は、近縁作物を連作している畑
★有機物の不足している畑
★土壌が酸性の畑
★土壌消毒が不十分な場合(化学的防除の場合)
 寄生性線虫は一般にその宿主(作物)が決まっており、近縁の作物以外の植物には寄生しません。従って、特定の作物を連作すると単一の寄生性線虫の数が次第に増加し、加えて、これらの寄生性線虫を抑える自活性線虫や有益性線虫(線虫に寄生する細菌、線虫を捕食する放線菌や糸状菌)等の数が少なくなると線虫害が激発する様です。これには土壌pHも非常に関係しています。
 また、自活性線虫や有益微生物の多くは有機物という餌を必要とします。


3.線虫害を減らす対策
 自活性線虫や有益微生物等の多い土壌では、一般に動きの鈍い寄生性線虫はその数を増やすことができません。従って、耕種的防除(農薬を使用しない防除)を考えるならば、こういった有益な生物を増やすことが線虫害を減らす一つのポイントとなります。
     
          
 Aはトヨクィーン200〜300kg/10a施用、Cの忌避作物としてはマリーゴールド等がよく知られています(ただし作物との相性があるので注意が必要)。B、Dについては、お近くの取扱店さんか農業改良普及所などでお尋ねください。

4.良い線虫(センチュウ)と悪い線虫の見分け方
 土壌線虫には、捕食性線虫・腐生性線虫などの様な『良い線虫』と、植物根等に寄生して農業上問題になる寄生性線虫(『悪い線虫』)がいますが、線虫はとても小さく肉眼では見ることができません。一般には土壌や作物から線虫を分離して、光学顕微鏡(約60倍)で確認できます。
『口頭部の形』での見分方

5.三大寄生性線虫とその防ぎ方

ネコブセンチュウ類 サツマイモネコブセンチュウ、ジャワネコブセンチュウ、キタネコブセンチュウ 等

 イチゴを加害するキタネコブセンチュウはウリ類に寄生すると発育できず死滅し、サツマイモネコブセンチュウも同様にイチゴやラッカセイの根に侵入すると死滅する(ジャワネコブセンチュウには効果なし)ので、前作で栽培すると良い。また、イネ科のネマキングやソイルクリーン等を緑肥として栽培すると線虫密度を減らすことができる。
シストセンチュウ類 ダイズシストセンチュウ、ジャガイモシストセンチュウ、ムギシストセンチュウ 等

 ジャガイモシストセンチュウには、屑ジャガイモの煮汁を土壌に灌注して幼虫を孵化させ、しばらくの間ジャガイモの栽培を控えれば幼虫を餓死させられる。ダイズシストセンチュウにはイネ科のネマキングやクローバ類を緑肥として栽培することにより密度を減らすことができる。
ネグサレセンチュウ類 ミナミネグサレセンチュウ、キタネグサレセンチュウ 等

 イネ科のネマキング等を緑肥として栽培すると線虫密度を減らすことができる。又、作物とマリーゴールド(アフリカントール)との混植も効果がある(混植は作物との適応性がある)。前作にラッカセイを栽培しても効果的。

その他

 共通して言えることは、堆肥などの有機質を施用して土中の有益生物を増やすことと、なるべく近縁作物の連作を避けることが有害線虫を増やさない基本的な方策であり、又、線虫被害圃場から出た種苗や農機具店等で、圃場内に有害線虫を持ち込まないよう十分注意する事が大切です。農薬を使う場合は、逆効果にならないよう農薬の使用方法を遵守してください。
 トヨクィーンは土壌環境を整えることにより、悪性線虫を減らし良い線虫を増やしますので、堆肥などと併用してお使いください。

参考書
   三枝敏郎著 『センチュウ(おもしろ生態とかしこい防ぎ方)』
   橋爪  健著 『緑肥を使いこなす』




]T 土の種類と性質
粘土鉱物や完熟堆肥などを施用し、保水力・保肥力を高める バーク堆肥など、形状の大きい堆肥類を施用し、排水性を高める。


 『砂土』は排水性は良いが、乾燥し易く保肥力が悪いという欠点があります。逆に『埴土』は保肥力は高いが、極端に排水性が悪いという欠点があります。それぞれ土壌改良材を施用して、性質を改善しましょう。一般的に農地としては『壌土』,『埴壌土』が適しています。